振 動 ●Vibration●
建築振動
建築物の床振動の評価には、日本建築学会から居住性能評価規準が規定されており、歩行振動や設備振動などの内部振動源や道路交通振動や建設振動などの外部振動源に対して評価行います。外部振動源の影響が懸念される場合は、計画地で事前の計測を行い振動源や地盤の特性を把握し、建物の動特性を考慮して振動に対する性能設計を行います。竣工後は、建築物の居住性能・振動特性・TMDなどの対策効果の把握のために,多地点の同期計測を行うケースが増えてきています。弊社では無線振動計測システムを用いることにより、屋内外や大規模な全点同期計測をケーブルレスで実現しております。
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居住性能評価規準
建物内の床面振動に対して、日本建築学会の居住性能評価を行います。初版から振動の継続時間を考慮した最新の第3版まで対応できます。
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減衰定数
振動応答や振動に加えて、減衰定数は性能設計において重要なパラメータです。常時微動振動からRD法やハーフパワー法によって減衰定数を算出します。
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振動モード
建物の振動挙動を把握するために、建物の振動を可視化します。
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無線計測器
多層階のフロアーや100mに及ぶ屋内外の計測点をケーブルレスで同期計測を実現します。
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ハンマー試験
インパルスハンマー試験によって、アクセレランスを評価します。固有振動数や伝搬特性を把握できます。
屋外振動
工場・事業所、道路、建設作業から発生する振動を用地境界で、振動規制法に準じて評価します。また、道路や鉄道の新規計画事業や高架事業に伴う、現況把握の計測や計測データに基づき供用後の振動予測を行うケースがあります。高架、伝搬経路、受振側に複数の計測点において同期計測し、振動の発生メカニズムや原因を特定する大規模調査の実績が多数あります。
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振動規制法
計量法やJIS規格に準じた特定計測器を使用して計測します。必要に応じて、計量証明書を発行します。
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道路・鉄道振動
用地境界に加えて、伝搬方向にも計測点を設けます。予測検討のために周波数分析を行うこともあります。
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大規模調査
屋内外の伝搬特性や構造物の動特性を把握するために、多地点同期計測を行います。数か月にわたる連続計測にも対応できます。
音響・騒音 ●Sound and Noise●
建築音響
設計段階で室内騒音の目標値が定められている場合、計画地において事前計測を行います。計測から得られたデータに基づき、現況再現モデルを構築し、目標値を満足するサッシや換気口などの開口部の仕様を検討します。界壁や床の遮断性能が定めれている場合は、竣工時や時には建設中の現場で計測を行い、目標の遮断性能を満たしているかを評価します。万が一満たされない場合は原因や対策方法を検討していきます。近年では、集合住宅以外に高齢者向け施設やCLTを用いた大規模木造建築物でのお問い合わせが増えています。
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界壁の遮断性能評価
JIS規格に準じて、界壁の遮断性の評価します。スピーカーから広帯域のノイズを発生させ、隣戸間の音圧レベルの差から評価値を求めます。
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床の遮断性能評価
JIS規格に準じて、床衝撃音の遮断性能を評価します。バングマシン、タッピングマシン、インパクトボールと呼ばれる衝撃源を用いて上階の床面を加振した際の下階における床衝撃音を評価します。
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残響時間
広帯域ノイズを用いた断続音やTSPによって室の残響時間を評価します。また、遮断性能の評価で、受音室の響き具合で評価値が異なりますので、残響時間で標準化するときがあります。
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インピーダンス
加振力と振動速度の比から、床面や壁面のインピーダンスを評価します。床衝撃音の予測等に用いられます。
騒音評価
工場・事業所、道路、建設作業から発生する騒音を用地境界で、騒音規制法に準じて評価します。また、新幹線や在来鉄道(新設・大規模改良)の騒音は、環境省のマニュアル及び指針に準じて評価を行います。計測による評価に加えて、3次元騒音シミュレーションによって、施設周辺の騒音予測も行います。可聴域に加えて低周波音領域の測定のご依頼も少なくありません。問題解決を目指した計測・評価方法を立案しております。
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騒音計測
計量法やJIS規格に準じた特定計測器を使用して計測します。必要に応じて、計量証明書を発行します。
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低周波音
インフラ設備や構造物に起因する低周波音を評価します。建物内の設備機器が原因となっているケースでは、振動計測を同時に実施し、発生源やメカニズムを把握します。
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騒音予測
事業所や商業施設から発生する騒音が周辺地域に与える影響をを面的に評価します。また、新設マンションでは、サッシ等の建具の性能検討の際には、現地計測結果に基づき、再現モデルを構築し性能設計に資する資料を作成します。
固体伝搬音
固体伝搬音は、例えば地下室の設備機器や地下鉄の走行音など問題となっている室とは別の場所に発生源があることがほとんどです。このようなことから、評価対象の受音室側と離れた音源側で同時計測が求められます。弊社ではGPSによる同期計測システムによって時刻精度を確保し、固体音の発生や伝搬メカニズムの把握をしております。
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室内騒音
最小化可聴値をわずかな上回る程度の音でも、寝室の枕もとの壁面から固体音が放射されてると苦情につながります。音と振動の同時計測によって、発生状況を把握し、発生源を探索します。
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多点同期計測
固体音の発生個所が不明な段階では、多点同期計測を行います。固体音領域ですので、時には20kHz以上のサンプリング周波数で、数十チャンネルの計測を行うときがあります。
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波形処理
固体音の発生タイミングに規則性や再現性が乏しいときは、長期計測を行うため、計測データは膨大な量になります。このため、案件ごとにプログラムをチューニングし、1次処理を自動化します。
研究開発 ●Study and Development●
研究
民間企業、公官庁、大学の研究機関と共同で研究業務を行い、成果を学会で論文投稿しています。また、学会の委員会等の活動を通じて得らえれた最新の知見を実務にフィードバックできるよう取り組んでおります。
〇所属学会〇
一般社団法人日本建築学会
一般社団法人日本音響学会
公益社団法人日本騒音制御工学会
〇所属委員会〇
〇発表論文〇
開発
計測・分析システムを自社で開発しております。近年では、通信技術・GPS・映像を活用して、従来と比べて精度の高い計測を実現しています。振動や騒音の計測データに映像や位置情報を加えることよって、従来は困難だった現場の実態を把握することができるようになりました。お客様のご要望に応じた計測・評価システムを開発しています。
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GPS同期
GPS ユニット(GPS 信号による同期信号発信器)を用いることで,従来,ケーブルの配線が困難な地点間で同期計測が可能になりました。例えば,家屋内外や一般道路を挟んだ離れた地点との同期計測が可能です。
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RTK
RTK測位とは基準局と移動局の2つの受信機を使い、衛星データを受信することで誤差数cmの測位を可能にする技術です。移動物体の測位も可能なため、音や振動のデータに車の走行位置をリンクさせた分析などを行うことができます。
その他 ●Other●
執筆・投稿
総務省 機関誌「ちょうせい」第110号 第2回 振動の測定方法
建築技術 2023年9月号「振動の継続時間を考慮した水平振動の評価」